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名古屋地方裁判所豊橋支部 昭和51年(ワ)56号 判決 1978年6月20日

主文

一、被告は、原告に対し別紙目録(一)、(二)記載の各土地について所有権移転登記手続をせよ。

二、原告のその余の請求を棄却する。

三、訴訟費用はこれを二分し、その一を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。

事実

第一、当事者の求めた裁判

(原告)

一、被告は原告に対し別紙目録(一)乃至(三)記載の土地について所有権移転登記手続、同(四)記載の土地について原告の持分六四八七分の二〇七三とする持分移転登記手続をそれぞれせよ。

二、訴訟費用は被告の負担とする。

との判決。

(被告)

一、原告の請求を棄却する。

二、訴訟費用は原告の負担とする。

との判決。

第二、請求の原因

一、別紙目録記載の土地は、もと亡高瀬弥兵の所有であつた。

二、原告と、被告の実父亡弥太郎は右弥兵の子(亡弥太郎が長男)である。

三、原告は、昭和二〇年一一月頃亡弥兵から右目録(一)記載の土地(現況宅地)及びその地上にあつた鶏舎を贈与を受け、昭和二一年一月頃その引渡を受けて鶏舎を改造し、以後今日まで居住している。

四、亡弥兵は昭和二一年二月六日死亡し、長男亡弥太郎が家督相続し、前項の土地の所有権移転登記義務を承継した。

五、亡弥太郎は、昭和二三年七月頃原告に対し財産分けとして別紙目録(二)乃至(四)(但し(四)については土地改良で一筆となつたものであり、それによる換地処分前の数筆の土地の二〇七三平方メートル。従つて現状においては、(四)のうち六四八七分の二〇七三の持分となる。)を贈与し、原告はその頃これらの引渡しを受けて耕作、植林等に使用してきた。

六、昭和五〇年三月二八日原告が亡弥太郎に対し前各項の土地についての所有権移転登記手続請求の訴を提起し、その審理中、同人は同居の長男である被告に対し、右の各土地について同年七月七日付を以て同月二日付売買を原因とする所有権移転登記をなした。

七、しかし、右の売買は亡弥太郎と被告が通謀した仮装のものであつて、無効であり、また仮にそうでないとしても被告は背信的悪意者に当るから、所有権の取得を主張することは許されない。

八、亡弥太郎は、昭和五一年二月一九日死亡した。

九、よつて被告に対し前記(第一の第一項)のとおりの登記手続を求める。

第三、請求の原因に対する答弁

一、第一項、第二項の事実を認める。

二、第三項の事実を争う。

三、第四項の事実を認める。

四、第五項の事実を争う。

五、第六項の事実を認める。

六、第七項、第八項の事実を争う。

第四、証拠(省略)

物件目録

(一) 愛知県渥美郡渥美町大字堀切字奥瀬古三九番

畑    三〇〇平方メートル

(現況宅地)

(二) 同所字今田原一番の一

山林  一四九〇平方メートル

(三) 同所字宮ノ前四四番

畑    七〇七平方メートル

(四) 同所字三角原三番

畑   六四八七平方メートル

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